愛知県の公立高校入試の解き方(2011/02/25)

先日、中学3年生の親御さんから、「学校の定期テストでは良い点数を取れるが、模試になると点数が極端に落ちる」というご相談を頂きました。愛知県で実施されている模試は公立入試問題を意識して作られていますから、入試問題の解き方を知らないと実力よりも点数が低く出る場合があります。以前にこのホームページでもお伝えしたかもしれませんが、私の経験でも、 定期テストでそこそこの得点を取っているお子さんが、模試や入試問題になると 半分も得点できないということがよくあります。定期テストには定期テストの、入試問題には入試問題の、勉強の仕方や解き方があります。

入試問題の中には、一見すると知識が必要そうだけど、実はテスト現場で考えて解く問題が多く含まれています。定期テストはできるけど入試問題で点数が取れない場合は、このタイプの問題で失点していることが多いです。

たとえば、平成20年の愛知県公立入試の問題で、「花の御所」の資料(絵)があって「この絵は、ある幕府の政治の中心として建てられた京都の邸宅を描いたものである。将軍がここに邸宅を建てた頃の文化について正しいものを次から選べ。」という問題が出題されました。

「花の御所」は室町時代に造営された、もしくは京都に幕府がおかれたのは室町幕府だと知っていれば、この問題は知識だけで解ける問題です。 では、これらの知識が基本的な知識か?といえば、中学生にとってそうではないようです。社会の成績が通知表で4や5のお子さんでも、「花の御所」や室町幕府がおかれた場所を知らないことがあります。 それで、当てずっぽうに答えを選んでしまうお子さんが本当に多いです。

でも、よくよく考えると、幕府と名前がつくものは、鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府 の3つしかないわけで、そのうち鎌倉幕府と江戸幕府は、場所がそれぞれ鎌倉、江戸ということはすぐにわかります。(鎌倉や江戸の場所はほとんどのお子さんが知っています。) ということは、京都におかれたのは室町幕府だと分かります。 この問題は、知識問題であると同時に、もしその知識を知らなくても、「テスト現場で考えて解ける」問題です。

ほかにも、地理や公民の問題で、選択肢の問題文中に細かい知識が要求されているように見えても、 実は資料を読み取れば正誤判定ができるという問題がたくさんあります。ですが、お子さんは、自分が知らない知識が問題文に出てくると、自分には解けない と思ってしまって、勘で答えを選んでしまいます。こういう解き方をしている限り、入試では点数が伸びません。

定期テストは知識を知っていれば解ける、知らなければ解けないというテストです。入試はそういう単純な知識問題のほかにも、テスト現場で考えて解く、現場で考えないと解けないという問題が多く出題されます。それで、定期テストで良い点数が取れるのに入試(模試)で点数が取れないという場合は、以上のような入試問題の解き方を知らないことに起因することが ほとんどです。単なる勉強不足だから点数が取れない、というだけではないのです。どれだけ知識を増やしても、どれだけ問題の演習量を増やしても、自分が持っている基本的な知識をもとに現場で考えて答えを出そうとする姿勢を身につけない限り点数が伸びません。

定期テストでそこそこの点数を取ってきたお子さんでしたら、基本的な知識は身についているでしょうから、入試問題の解き方を教えてあげるだけで、点数がかなり上がります。この時期は「知識だけを使って解く方法」から、「知識をもとに現場で考えて解く方法」へ、解き方を転換することが一番重要です。

このように、愛知県の公立入試の問題は、基本的な知識をもとに考えて解く、テスト現場で考えて解く、という問題が多いです。(愛知県の公立入試の問題は、よく練られていて良問揃いだと思います。その分、受験生を悩ませるわけですが。)最後まであきらめずに、どこで点数を落としているのか分析して対策をしていくことが、合格への近道だと思います。

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