基礎学力を確保するには(2009/03/16)
来年度から新しい学習指導要領への移行措置が始まります。新しい学習指導要領では、学ぶ内容が増えます。「ゆとり教育」から「詰め込み教育」への方向転換と考えて良さそうです。私は「ゆとり教育」でも「詰め込み教育」でも、勉強する子はするし、勉強しない子はしないから、それほど変わらないと考えています。ですから、どちらの教育が良いとかまったく考えていませんし、指導要領が変わるからと、いち家庭教師が右往左往する必要はないと思っています。(現場の学校の先生は大変だと思いますが。)
ただ、ゆとり教育と関係があるのかわかりませんが、ここ最近、小数・分数の計算ができない、小学校で習う漢字が書けない・読めない中学生 に出会う回数が多くなりました。東西南北がわからない、日の出が朝なのか夕方なのかわからない、という子もいます。たとえば、理科の天気記号を教えていて、「北東の風」が書けない。 天気記号がわからないのかと思って説明しても、まだ書けない。よくよく話を聞くと 東西南北がわかっていなかった、という子がいます。社会の時差の計算でも、時差の計算方法はわかるけど「午前7時の9時間前が何時なのかわからない」という子もいます。もちろん学校の授業ではこういう基本的なことは当然わかっているものとして説明して いくので、その子たちが授業を理解するのにどれだけ苦労するかは容易に想像できます。中学校の授業で、時計の計算から説明してくれる先生はいないでしょう。
こういう子を教えるときには、中学校の内容を説明する前に、小学校の内容を教えなくてはならないので、とてつもなく時間がかかりますし、その子を平均レベルに引き上げるには、私もご両親も相当の努力をしなくてはいけません。 もちろん、その子はそれ以上の努力を求められるわけです。 ここまで基礎学力が不足してると、ちょっと勉強時間を増やしたところで、成績は上がりませんから、 勉強のモチベーションを維持するだけでも大変です。ところが、ご両親はそれほど深刻な状況だと気づいていませんし、自分の子がそこまでできていないと思っていません。多くの場合、私が「こういう状況です。」とご説明すると、「え?」と驚いたような反応をされます。 こういう子たちをご両親のご協力も頂きながら平均レベルまで引き上げることに成功することもありますが、時間切れでどうしても成績を上げられず悔しい思いをすることもあります。
基礎学力の低下が「ゆとり教育」にあるのかはわかりません。「詰め込み教育」に転換したとしても同じような問題を抱えてしまう子は出てくると思います。ですから、成績が落ち込み始めたら、できるだけ早く子供をサポートする必要があります。一番大切なのは、子供がどこまで理解できているかをしっかりと把握しておくことです。子供のテストの答案を見ずに、点数ばかりに目が向いている親御さんもいらっしゃいます。もちろん点数も重要ですが、もっと大切なのは、子供が答案に何を書いているか 、どこが理解できていないかを把握することです。そうすれば、その子にどんなサポートをすれば よいのかがわかります。きちんとしたサポートがなされていれば、子供もご両親も学年が上がってから大変な思いをすることはないと思います。