テストで高得点を取るために必要なこと(2011/05/08)

親御さんから「先生の説明はわかりやすいと、子供が言っています」と言って頂けることがあります。お世辞かもしれませんが、それでもうれしいです。ですが、仮に私の説明がわかりやすいとしても、それだけでは何の効果もありません。私に求められているのは、わかりやすく説明することではなくて、お子さんの成績を上げることです。ですから、どれだけわかりやすい説明をしても、お子さんの成績が上がらなかったら意味がないわけで、むしろ、わかりにくい説明でお子さんの成績が上がるのだったら、わかりにくい説明のほうが良いとさえ言えます。たしかに、わかりやすい説明はお子さんの理解の大きな助けにはなりますが、それだけでテストで高得点を取れるわけではありません。

そもそも、わかりやすい授業を受けたかったら、評判の先生の授業を大手予備校で受講すれば良いと思いますし、懇切丁寧な解説が書いてある参考書を読めば、それで事足りるわけです。しかし、それだけでは、テストで高得点は取れません。「子供が塾の授業はわかると言っているのに、テストの点数が良くない」というご相談をときどき受けるのですが、まさにこれが典型例で、わかりやすい授業が必ずしもテストの点数UPに直結するわけではありません。

テストで高得点を取るお子さんは、「目に見えない」ところで、きちんとした問題の解き方や勉強をしています。目に見えない努力です。この部分は表には現れてこない、外からは見えないので、高得点を取るお子さんはすごい、頭が良い、ということになるわけです。もっとも、高得点を取るお子さんは、自分の解き方や勉強のやり方を当たり前だと思っていることが多いですけどね。外からは彼らが頭の中でどのように解いているのかわからないので、彼らに何か特別な才能があるように感じられるわけです。

去年、教え始めた頃に「国語で90点なんて取れっこない。」と言っていたお子さんが、2学期のテストか学年末のテストか忘れましたが、国語で98点を取ってきました。たしか、その前のテストでも90点を取っていたと思います。理科も99点ということがありました。もちろん、その子はすごく努力をしていましたが、それは問題集を何十冊も解いたというような目に見える努力ではなく、目に見えない努力です。

目には見えない努力の一例を挙げれば、検算です。数学や理科で高得点を取るお子さんは、計算の途中の要所要所で検算をしています。でも、その子が検算しているかどうかは、外からわからないのですね。 ですから、彼らは計算ミスをしないからすごいということになるわけですが、実際は、きちんと検算をしているから、計算ミスがないのです。(検算をしなくても計算ミスをまったくしない子もいるでしょうが、私はまだ出会ったことがありません。)

だから、私はお子さんに検算をするようにアドバイスをしています。複雑な計算は途中式の一行ごとに検算する、方程式は求めた答えをあてはめて式が成立するか確かめる、などのように。しかし、これだけではまだ不十分で、お子さんが実際に検算しているかを、教える側は確認しないといけません。とは言っても、前述の通り、検算は頭の中で処理しますから、答案に残りません。では、どうやって確認するのかというと、問題を解いている最中、検算をしているときは、お子さんの手が4,5秒止まります。その4、5秒を教える側が見逃さないことが大切です。 もし検算をしていなければ、検算をするように繰り返し言わないと、計算ミスはなくなりません。検算は、学校や塾の授業を聞いても身に付きませんし、参考書にも書いてありません。お子さんの弱点を見抜いて、こうやって1つ1つ補っていくことが、私の最大の役割なのではないかと考えています。わかりやすい説明を心がける以上に。

教える側が、必要な解き方を目に見える形で(例えば検算のように)お子さんに伝えて、身に付けさせることができるか、お子さんが得点できるところまで落とし込んで教えられるかどうかだと思います。検算をするように言っても、なかなか実行しようとしないお子さんもいます。お子さんが素直であることが大切で (お子さんの成績を上げるにはでもご紹介しています)、根気よく取り組むことも必要だと思います。

このページの先頭へ